触媒活性の高い優れた不斉触媒を開発する事は,光学活性化合物を合成するために極めて重要な課題の一つである。我々は,2004年に,(R)-ビナフトールより合成した環状リン酸ジエステルがマンニッヒ型反応を効率良く触媒し,対応する付加体が光学純度良く得られる事を見出した。すなわち,キラルリン酸はキラルブレンステッド酸触媒として優れた不斉触媒能を有する事を明らかにした。我々の報告の後,キラルリン酸を用いた不斉触媒反応が,世界中で開発されている。
秋山研究室では,キラルリン酸を用いた更なる優れた触媒反応を開発すると共に,更に優れた触媒活性を示すキラルブレンステッド酸触媒の開発を目指している。
1-1 イミンに対する求核付加反応,付加環化反応
1-2 新たな水素供与体を用いた水素移動型還元反応
1-3 軸性化合物の不斉合成
1-4 含フッ素化合物の不斉合成
炭素ー水素結合を炭素ー炭素結合あるいは炭素ーハロゲン結合に直截的な変換反応は,重要な変換反応として近年大きな注目を集めている。我々はヘテロ原子のα位の水素が[1,5]水素移動をおこし,生成した双極性イオン中間体からの環化反応により環化反応が得られる,internal redox反応の開発研究を進めています。
炭素ーフッ素結合は,炭素結合の中で最も強い結合である。我々は,炭素ーフッ素結合の活性化反応を見出した。
銅触媒を用いる事により,アレニルシランなどの有機ケイ素化合物とイミンとが[3+2]型の付加環化反応を起こし,プロリン誘導体が高い光学純度で得られる事を見いだした。
クロムのアミノカルベン錯体とa,b-不飽和アルデヒドが[3+2]型の付加環化反応を起こし、多置換ピロールを収率よく与えることを見いだした。