身近に使っているものを実際に作ることにより、化学の不思議さや素晴らしさを体験してもらうために初等科生に、「目白の魔法使いハリーポッター」になってもらう。驚きの声、歓声、さまざまな声がとびかい、大変にぎやかな実験になるであろう。目白魔法学校に、化学科教員と大学院生、学生が案内する。以下に魔法使いへの体験テーマの概要(がいよう)を記す。

1.花火を作ろう

各自が花火をつくり、火をつけて花火を楽しんでもらおう。原料となる化学物質を実際に見て、色の違いを知り、重量を測る、試薬を混ぜる、粉末をつめるなど簡単な化学実験の操作を体験し、化学反応(燃焼)を実感し、楽しんでもらうことが狙いである。この中で、試薬を決められた重量だけ測るとき物質の量の感覚を知り、ロートを使って粉末をつめる時、どのようにしたらうまく詰められるのかを考えたりするなどのきっかけを与えられるのではないだろうか。自分でつくった花火なので、燃えるときの様子をよく観察してみよう。

使用する薬品:
硝酸カリウム(KNO3・白色)、炭素粉末(C・黒)、硫黄粉末(S・黄色)、鉄粉(Fe)

作り方(一人分):

  1. KNO3 1 g、C 0。4 g、S 0。3 gをそれぞれ天秤にて量りとり、乳鉢に入れる。
  2. 慎重によく混合する。黒色火薬のできあがり!!
  3. Fe粉を1 gを乳鉢にいれ混合する。
  4. 空のスティックシュガーの袋に混ぜた粉をロートでゆっくり詰め込む。
  5. 竹ひごとセロテープで持ち手をつける。
  6. 手を洗ってから、火をつける。

線香花火の原理

  1. 線香花火とは、高温による化学反応である。
  2. 硝酸(しょうさん)カリウムが高温に熱せられることにより亜硝酸(あしょうさん)カリウムになり酸素を放出する。その酸素が燃えやすい炭素や硫黄(いおう)と反応して爆発的な燃焼をおこす。
  3. 線香花火特有の球状のものは、鉄が高温になり硫黄や硝酸(しょうさん)カリウムとともに溶けたものである。硫黄は鉄粉と一緒に熱すると激しく反応し硫化鉄(りゅうかてつ)(Ⅱ)を生じる。
  4. そのときの反応が線香花火の火花となって見えるのである。

2.スライムを作ろう

アメーバー状のどろどろしたスライムはどのように作れるだろうか。理科体験では、家庭にある洗濯のりを用いてホウ砂やチタン化合物を作用させることにより、全く違うものができるという化学の本質をうまく使って作ってみた。

1.洗濯のりとホウ砂を混ぜて作る方法。

用いる薬品
PVA系の洗濯のり (PVA = ポリビニルアルコール)、ホウ砂

手順

  1. ビニールカップに、洗濯のりとお湯を同じ量加える。
  2. ホウ砂をお湯で溶かした溶液を、ピペットで少しずつ加えながら、割りばしで良くかき混ぜる。
  3. 固まったら、スライムの出来上がり!!
    (色をつけたり、鉄粉を加えたりしても面白いでしょう☆)
    カップから出して、遊んでみよう!

①ビニールカップに、“洗濯のり”と“お湯(または水)”を同じ量加える!!

ホウ砂溶液をピペットで少しずつ加えながら、わりばしで激しくかき混ぜる。

③固まったらカップから出し、遊んでみよう!!

これはポリビニルアルコールがホウ砂を介して架橋することでスライムが出来ます。

 

2.洗濯のりとチタン化合物を混ぜて作る方法

ポリビニルアルコールとチタン化合物が反応するとお互い手を結び合いながら成長し、最後は固まります。この性質を利用して作ってみました。

スライムが出来たら、いろいろな色素で着色して遊ぶのもまた楽しい思い出である。

3.卵を落としても割れない物質

地表下16kmまでの全物質の元素の存在比を重量百分比(じゅうりょうひゃくぶんひ)で示すと酸素(O)が一番多く、次がケイ素(Si)の順番になっています。(現在ではほとんど用いられていませんが、これをクラーク数といいます)。ケイ素―酸素を基本骨格とする一連の化合物群をシリコーンといい、我々の生活のあらゆるところで役立っています。例えば、シャンプーにシリコーンが含まれると、使用後、さらっと気持ちよい使用感になります。また雨傘の表面にはシリコーンが塗ってあるため、雨水をはじく性質をもちます。このようにケイ素―酸素を基本骨格とする化合物は石油を原料とする炭素(C)中心の有機化合物とは異なる不思議な物理的・化学的性質を発揮します。このように面白い性質をもつ化合物の一つにGel(アルファゲル)があります。アルファゲルはゼリーのような物質で、運動靴の底に入っていて、走っているときの衝撃から脚や体の関節などを守ります。また、ボールペンのグリップ部分に使われていて、指にかかる負担を和らげ、書きやすくしています。

アルファゲルは、高いところから落下する生卵を割らずに受け止める衝撃吸収能力(しょうげききゅうしゅうのうりょく)をもっています。

図7.落としても卵は割れない

4.6, 6−ナイロンって不思議だな

ナイロンは世界で最初に商品となった合成繊維(ごうせいせんい)で、ポリアミド系の繊維です。一般にジカルボン酸とジアミンを重縮合(じゅうしゅくごう)したもの、およびカプロラクタムを開環重合したものをナイロンと呼びます。アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとから作ったものを6, 6-ナイロンといい、数字は原料のジカルボン酸とヘキサメチレンジアミンの炭素数を示しています。このような重縮合反応では必ずしも一方の原料がジカルボン酸でなくても、より反応性の高い酸クロリドを用いても反応が進行します。

主な器具:
巻取器(または、はし)、メスシリンダー(50ml)ビーカー(100ml)、駒込ピペット(2ml)、ビーカー(300ml)、ピンセット

試薬:
アジポニトリル(2ml)、ヘキサメチレンジアミン(2ml)、水酸化ナトリウム(強アルカリ)5粒、クロロホルム(50ml)

実験操作

  1. ビーカー(300ml)に50mlのクロロホルムを入れ、ピペットでアジポニトリルを2ml加えて溶解する。
  2. ビーカー(100ml)に50mlの水を入れ、水酸化ナトリウム5粒を溶解し、さらにヘキサメチレンジアミンを2ml加えて溶かす。
  3. 2で得た溶液を静かに1の溶液に注ぐと液は2層になり、その界面ですぐ重合が起こり、白膜を生じる。
  4. 膜の中心部をピンセットでつまんで取り出し、端を巻取器につけて巻き取る。巻き取るに従って次々に反応が続き、糸がのびる。

注意
ヘキサメチレンジアミンは固体であるが、融点(ゆうてん)が低い(41℃)ので、温めると簡単に液化し、ピペットで取り扱うことが出来る。

①ビーカーに、“A液”を30 mlはかり取ります。(“A液”30 mlには、ヘキサメチレンジアミン 1 gを水に溶かしてあります)

②三角フラスコに“クロロホルム”を30 ml量りとり、“アジピン酸クロリド”を0。5 ml加え、混ぜます。(係りの人に量ってもらってください)

③A液”の入ったビーカーに、アジピン酸クロリドの溶液(三角フラスコの中身)を静かに加えます。(2層になりましたか?)

④2層の間をピンセットでつまみ、出てきた6,6-ナイロンを試験管に巻き取ります!

⑤ ④できた6,6-ナイロンを水で洗って、乾燥させたらできあがり☆

図8.うまく出来たぞ!ナイロン繊維

5.スーパーボールを作って楽しもう

スーパーボールを作る方法はいろいろあります。ここでは2種類の化合物を混ぜることにより、化学反応(ヒドロケイ素化)を起こし、大きな分子量(ぶんしりょう)を作る現象を用いて作ってみます。

実験手順と用いる用具、試薬

6.入浴剤を作ろう

①まず、“電子はかり”で決まった重さの試薬(しやく)をはかります!!

②乳鉢(にゅうばち)に全ての試薬を入れ、乳棒(にゅうぼう)でよくすりつぶします!

③粒(つぶ)が細かくなったら、エタノールを少し加え再び良くまぜる!

④型につめて、上から強く押します!!

⑤逆さまにして、型をたたき固まりをとりだします!!

⑥しっかり乾燥させたら、できあがり!!

7.ペットボトルに入れた溶液の酸化・還元反応による変色

【実験1】色が消える反応

実験に用いる器具や手順

  1. ペットボトルに40〜50℃前後のお湯を入れる。
  2. この水に水酸化ナトリウム5g、ブドウ糖3gを加え、溶かしておく。
  3. 熱帯魚用のメチレンブルー溶液を1滴ずつ加えていく。滴下するごとに混ざっては色が消えていくのを確認する。ある程度の量を超えるとだんだん色の消えるスピードが遅くなるのでそこで滴下を止める。
  4. 容器の1/3は空気の入った状態にして容器のふたを閉める。
  5. 冷やした後、容器を振ってみる。色が消えたら、再び振ってみる。

【実験2】信号反応 振ると色が変わる!

実験に用いる器具や手順

  1. ペットボトルに水250mLを入れる。
  2. この水にブドウ糖3g、水酸化ナトリウム5g、インジコカルミン0。05gを加える。
  3. 最初は、ペットボトルを手でゆっくり振る。
  4. 色が変わったら、さらに激しく振る。

おいしそうな色をしていますが、絶対に飲んではいけません! 

(参考文献: 魅せて教える科学実験11, 化学 Vol.68, No.11(2013) p.40)

8.暗いところで光る“しおり”を作ろう

物質に光が当たると,光がその物質の中に貯めこまれて,しばらくしてからまた光として外に出てくることがあります.このような現象を「りん光」と呼びます.この実験では,「りん光」を出す粉を特殊な液に混ぜて絵の具にして,その絵の具で黒い紙の上に絵や字を書きます.書けたら紙をよく乾かして,保護フィルムと好きな色のリボンを付けます.光る「しおり」の出来上がりです.この「しおり」に電球の光を当ててから暗いところに持って行くと,暗いところで絵や字が光ります!